ガスクロマトグラフィー(GC)の基礎
Ⅲ章-1 注入方法の種類
パックドカラムは内径が太いために、カラム内にシリンジの先を入れて試料を全量注入するオンカラム注入が容易に行えます。しかしキャピラリーカラムの場合、内径が非常に細いため、シリンジをカラム内に入れることは特別な場合を除き不可能です。そこで左図のようなライナーを使用して試料を気化し、その全量あるいは一部をカラム内に導入する方法をとります。一部を注入する方法をスプリット注入法、全量(厳密には大部分)を導入する方法をスプリットレス注入法と呼びます。その他に、直接注入法、コールドオンカラム注入法、温度プログラミング気化法などの注入方法があります。
注入方法 | 注入時の温度 | カラムサイズ | 特長 | 注意点 |
---|---|---|---|---|
スプリット 注入法 |
高温 | すべて | 一般分析 カラム温度条件に制限なし |
低濃度成分には不向き |
スプリットレス 注入法 |
高温 | すべて | 微量分析 | 気体や低沸点成分には不向き カラム温度に制限あり |
直接(ダイレクト) 注入法 |
高温 | 0.53mmI.D. 以上 |
一般分析 | 高分離が必要ない成分に適用 |
コールドオンカラム 注入法 |
低温 | すべて | 熱に不安定な成分に有効 ディスクリミネーションが起きにくい |
気体や低沸点成分には不向き カラムが汚染されやすい カラム温度に制限あり |
温度プログラム 気化法 (PTV法) |
低温 | すべて | 熱に不安定な成分に有効 ディスクリミネーションが起きにくい 大量導入が可能 |
気体や低沸点成分には不向き カラム温度に制限あり |