分野別ソリューション

食の安全(農薬、動物用医薬品、自然毒など)

ジーエルサイエンスからのご提案

食の安全分野において、ジーエルサイエンスは基礎から応用まで、さまざまな提案を行うことができます。本ページではその一部をご紹介いたします。ここで紹介した項目以外の分析でお困りのお客様は、「お問い合わせフォーム」にて、お問合せください。

残留農薬(通知法・簡易法)

GC/MSによる農薬等の一斉試験法(農産物)の理論

農作物中に含まれる残留農薬の一斉分析は、世界中で広く実施されています。多くの分析法が存在する中で、日本においては、厚生労働省はマトリックスに合わせた各種一斉試験法を提示しています(*1)。
その中でも、多数の農薬成分を同時に測定する事が可能な、“GC/MSによる農薬等の一斉試験法(農産物)は、数多くの試験期間で実施されている手法です。

GC/MSによる農薬等の一斉試験法(農産物)フロー

*1: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000075497.html (2021年9月3日現在)

『InertSep C18ミニカラムは脂質除去に効果的!』

InertSep C18ミニカラムは、公示試験法における「オクタデシルシリル化シリカゲルミニカラム」に該当します。抽出操作で得られた試料液を本カラムに流すことで、抽出液中の脂質分をクリーンアップできます。

【InertSep C18カラムの精製原理】

InertSep C18(脱脂用)

C18カラムは強い疎水性相互作用を持つカラムです。アセトニトリルで抽出された作物抽出液中の脂質や高級脂肪酸などの疎水性の高い成分を強く保持できます。一方で、疎水性のやや弱い農薬類は素通りできますので、脂質との分離が可能となります。C18カラム選択法で重視する点は、その不活性処理の高さです。トリアゾール系骨格のような塩基性官能基を有する農薬類は、C18充填剤表面の活性点に吸着損失しやすいことが知られています。InertSepC18は高度な不活性処理を実施しているため、残留農薬分析用クリーンアップカラムに最適な仕様となっております。

C18充填剤の不活性度の違いによる農薬回収率の差

C18充填剤の不活性度の違いによる農薬回収率の差

『さらに便利なInertSepC18/DRY』

【InertSep C18/DRY カラムの有効性】

InertSep C18/DRY

C18/DRYカラムは、InertSepC18の下部に3gの無水硫酸ナトリウムを積層させたクリーンアップカラムです。C18で脱脂された食品抽出液に、計量された無水硫酸ナトリウムを投入・振り混ぜ・ろ過する操作を、完全に省く事ができます。
使用器具を減らすとともに、ろ紙等の廃棄物量低減にも有効ですので、ラボ運営における環境負荷低減に役立ちます。

『InertSep C18ミニカラムによる精製効果!(穀類・豆類)』

次の図(a)は穀物試料のアセトニトリル抽出液をC18で精製せずにGC/MSに注入したものです。クロマトグラム後半に脂質由来の大きな妨害ピークが確認され、ベースラインの上昇も見られます。
このように脂質分の精製が不十分だと、高沸点側の農薬成分の定性性及び定量性に大きな影響を与える事になります。そして、ライナーやカラムにもひどい汚染を起こします(この影響は、クロマトグラム上では、なかなか判別がつかない、やっかいな問題です)。
図の(b)は同じ試料液をInertSepC18に通液し脱脂した抽出液です。(a)に比べて高沸点側の妨害ピークが無くなっているのが解ります。
また、ライナーやカラムの汚染を低減できますので、GCMSやカラムのメンテナンスコストを下げ、分析の信頼性も大きく向上できます。

穀物試料のアセトニトリル抽出液をC18で精製せずにGC/MSに注入した図

※食品中の残留農薬等の取り決めについて(引用:厚生労働省H.P.) 
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/zanryu/index.html

『InertSep C18ミニカラムによる精製効果!(野菜類)』

InertSepC18は野菜類の前処理にも力を発揮します。
下の図は、ほうれん草抽出液(農薬未添加)をInertSep GC/NH2でクリーンアップカラムした液(上)と、InertSep C18とInertSep GC/NH2でクリーンアップした液(下)を比べてものです。一目でInertSep C18を追加した方が、ほうれん草由来の妨害成分を減少させている事がわかります。
野菜類には脂質は含まれていないはずなのに、InertSep C18で高い精製効果が得られているのはなぜでしょう?
実は、野菜類に含まれている脂溶性ビタミンや、長鎖アルコール、一部色素類は、GC/NH2では精製しきれない場合があるのですが、InertSepC18は、それを事前に除去することができまるのです。手順は「穀類・豆類」と同じ方法です(フロー参照)。
野菜類を処理したときに、もう一息精製効果を上げたい場合は、InertSepC18は有効な選択肢となります。

ほうれん草抽出液(農薬未添加)をInertSep GC/NH2でクリーンアップカラムした液と、InertSep C18とInertSep GC/NH2でクリーンアップした液の比較図

『InertSep SIミニカラムの役割とは!?』

LC/MS による農薬等の一斉試験法Ⅱ(農作物)の精製用クリーンアップカラムとして、シリカゲルが採用されています。
InertSep SIのようなシリカゲルカラムは典型的な極性相互作用を持ちます。
試験法では、アセトン/トリエチルアミン/n-ヘキサン=(20:0.5:80)に転溶された食品抽出液を負荷させ、農薬類を吸着させます。極性の低い妨害成分は保持できず廃棄されますので、精製が可能となります。
保持された農薬類は、アセトン/ メタノール=(1:1)で溶出されます(溶出時に、一部の高極性妨害物質がInertSep SI上に取り残され、さらに精製効果は高まります)。

ほうれん草による添加回収試験例

ほうれん草による添加回収試験例

LC/MS による農薬等の一斉試験法Ⅱ(農作物)は、GC/NH2ミニカラムでは適応できない農薬類も対象としています。
GC/NH2ミニカラムを使用していないため、色素除去効果や脂肪酸除去効果は若干弱い傾向があります。
必要に応じて、精製方法の改善や、最終検液の希釈率を上げるなど、工夫する余地があるかもしれません。

『InertSep SIの特徴とシリカゲルカラムの選び方!』

シリカゲルカラムのような極性固相は、その極性の高さゆえ、大気中の水分を吸収し、経時的に活性度が弱まります。不適切な条件で長期間保管すると、購入時と挙動が変わる事がありますのでご注意ください。
InertSep SIは保管中の大気中水分の吸着を避けるため、少ない包装単位で真空パッケージしています。使用時に開封すれば、活性を最大限維持したままのご使用が可能です。

InertSep SI

GLサイエンスが提供する「残留農薬一斉分析の簡易分析法」
ーQuEchERS抽出+三層&四層ミニカラムー

QuEchERS法は世界中で広く使用されている残留農薬の簡易メソッドです。
しかし、手法が簡易である分、精製が不十分となりがちで、分析器の汚染が気になります。
GLサイエンスの提供する方法は、抽出操作をQuEChERS抽出法(EN法)で行い、精製には三層、四層ミニカラムを使用するというものです。
ミニカラムを使う方法ですが溶媒転溶操作は必要なく、高度な精製効果が期待できる手法です。

実験方法の図
QuEchERS抽出

QuEchERS抽出

四層ミニカラム精製

四層ミニカラム精製

残留農薬、生体試料のクリーンアップカラム

InertSep VRA-PRチラシ

InertSep VRA-PRは、抽出液中の分析妨害成分を吸着除去できるクリーンアップカラムです。残留農薬の前処理、生体試料の簡易・迅速前処理に用いることができます。QuEChERS(EN)法で抽出した溶液と組み合わせることで、簡便に精製処理が可能です。グラファイトカーボンを使用していないため、トルエンを使用せず、少量のアセトニトリル溶媒のみで精製処理が行えます。色素成分が強いサンプルに対しては、AL-Nを積層したタイプの製品を用いるとより効果的です。

三層、四層ミニカラムのご紹介

InertSepAL-N-C18-SAX-PSAチラシ

三層、四層ミニカラムによるクリーンアップ法は、アセトニトリル抽出で得られた試験液を流すだけの簡易な方法で迅速に精製できる手法です。グラファイトカーボンを使用していないため、トルエンも使用しません。

自動化をご希望のお客様へ

四層固相カラムを利用した残留農薬前処理操作を自動化した事例をご紹介いたします。

固相抽出前処理システムG-Pprep FA-101 のご紹介

固相抽出自動処理システム G-Prep FA-101カタログ

G-Prep FA-101は、固相抽出のコンディショニングから溶出までの一連の操作を自動化することを目的とするシステムです。
食品分析の前処理における固相抽出操作で再現性や回収率を安定させるには、サンプル抽出液を含めた溶媒類の流速を正確にコントロールすることが重要です。
G-Prep FA-101は、極めて正確な送液性能をもち、再現性、信頼性のある前処理に大きく貢献します。

動物医薬品

動物用医薬品は、動物に使用されることを目的とした医薬品です。
食用となる家畜・養殖水産動物等を対象に、病気の治療・予防・栄養補給・成長促進を目的として、世界中で適切な管理の下、使用されています。
しかし、一定数の違反事例も見受けられることから、広く検査されています。

動物医薬品分析の特徴

動物用医薬品の抽出液は懸濁物や粘性のあるサンプルが多く、ミニカラム処理が困難な場合があります。
通液性が悪いミニカラムでサンプルを処理すると、操作ミスのリスクが高まるだけでなく、安定性の悪い成分などは回収率が悪化する場合があります。
InertSep では、試験法に相当した充填剤だけでなく、通液性を改善したミニカラムも用意しています。(特注対応も可能です。)

テトラサイクリン類

テトラサイクリン抽出液は懸濁する場合があり、内径8〜9mm のミニカラムを用いた場合、目詰まりで作業が困難になります。
265 mg/6 mL, 265 mg/20 mL のように充填容器の形状を変えることで、 目詰まりの影響を受けにくいミニカラム処理が可能となります。

20mL リザーバーを用いたテトラサイクリンの前処理
リザーバーサイズによる通液時間の比較(テトラサイクリン類の試験法)
InterSep PLS-2(スチレンジビニルベンゼン(SDB)ポリマー)
測定成分 回収率(%) CV(%)
オキシテトラサイクリン 94.7 5.9
クロルテトラサイクリン 86.4 7.2
テトラサイクリン 91.0 4.1
注)データは一例であり、結果を保証するもんではありません。                       (添付濃度:0.1ppm, n=3)

HPLC条件

自然毒(カビ毒・貝毒など)

アフラトキシンにおける分析事例

アフラトキシン類は天然に存在する毒物の中でも非常に高い毒性を持ち、容易に肝細胞癌を引き起こします。種実、穀類、香辛料から広く検出され、加工・調理した後でも残留することから、分析の重要性は世界的に増加しています。
総アフラトキシン試験法の精製方法は、多機能カラムを用いた精製法と、イムノアフィニティカラムを用いた精製法があります。GLサイエンスでは、多機能カラムとして優れた通液性と回収率を確保できるInertSep VRAシリーズをお薦めしております。

InertSep VRAシリーズを用いた精製法
麦・マカダミアナッツ・玄米の回収率グラフ

分析事例(1)(LC/FL)

分析事例(1)(LC/FL)

分析事例(2)(LC/MS)

分析事例(2)(LC/MS)

フモニシンにおける分析事例

フモニシンは1980年代に発見された比較的新しいカビ毒です。主に注目されているのは、フモニシンB1,B2,B3で、世界中のトウモロコシに多く確認されますが、米、麦などにも検出されることもあります。
前処理として使われる固相抽出カラムは、強陰イオン交換の性質を持つInertsep SAXです。

LT152 HPLC用メタルフリーカラム使用のすすめ その1

InertSep VRA-3多機能カラムによる小麦中のデオキシニバレノールの分析例~LC/UV分析編~

デオキシニバレノールは、主にフザリウム属(アカカビ)の一部のかびが生産するかび毒で、とうもろこしや麦類のデオキシニバレノール汚染は世界的に問題となっています。小麦中のデオキシニバレノールの分析方法について、生食発0930第2号小麦中のデオキシニバレノール試験法では前処理として多機能カラムを用い、分析はLC/MS/MSまたはLC/UVを使用することになります。 本検討では、デオキシニバレノールを添加した小麦抽出液を多機能カラム(InertSep VRA-3)にて抽出・精製を行い、LC/UVで分析を行いました。
詳細は、SPE Technical Note ST032を参照してください。

InertSep VRA-3多機能カラムによるデオキシニバレノールの分析例~LC/MS/MS分析編~

デオキシニバレノールは、主にフザリウム属(アカカビ)の一部のかびが生産するかび毒で、とうもろこしや麦類のデオキシニバレノール汚染は世界的に問題となっています。デオキシニバレノールの分析方法について、生食発0930第2号小麦中のデオキシニバレノール試験法では前処理として多機能カラムを用い、分析はLC/MS/MSまたはLC/UVを使用することになります。 本検討では、デオキシニバレノールを添加した小麦ととうもろこしの抽出液を多機能カラム(InertSep VRA-3)にて抽出・精製を行い、LC/MS/MSで分析をしました。
詳細は、SPE Technical Note ST032を参照してください。

下痢性貝毒分析における精製法の検討

平成27年3月6日に厚生労働省より「麻痺性貝毒等により毒化した貝類の取扱いについて(平成27年3月6日食安発0306 第1号)」が通知され、下痢性貝毒の検査方法に従来のマウスを用いる方法にかわり機器分析に手法が採用されました。また、規制値が可食部1kg当たりの毒量0.16mgOA(オカダ酸)当量に変更されました。下痢性貝毒の検査についても同日、「下痢性貝毒の検査について(平成27年3月6日食安基発0306第3号・食安監発0306第1号)」が出され、定量限界値が0.01mg/kg 以下と定められました。また、ホタテガイで妥当性が確認された試験方法としてLC-MS/MS 法が記載されています。

お問合せ

ご注文・お見積り・在庫・修理に関するお問い合わせは、最寄りの営業部・支店・営業所までお問い合わせください。また、製品の仕様やアプリケーション等に関するご質問は、お問合せフォームよりお気軽にご連絡ください。