技術情報

ガスクロマトグラフィー(GC)の基礎

Ⅰ章-2 ガスクロマトグラフィーについて

Ⅰ章-2-1 ガスクロマトグラフィーの特長

  1. 高理論段数である。 分離が良いため、ガソリンのような多成分混合分析に最適。
  2. カラムの種類が多い。 分析目的に最適な条件を選択できる。
  3. 高感度で、汎用性、選択性のある検出器が利用できる。 微量分析が可能。 選択性があることにより、夾雑成分の影響を受けにくい。

Ⅰ章-2-2 ガスクロマトグラフィーの用途

ガスクロマトグラフィーの分析対象物質は、常温で気体または加熱(通常400℃位まで、最高で沸点700℃程度まで)によって気体となり熱に安定な物質です。
分析対象物質は、無機ガス(酸素、窒素、水素、二酸化炭素、アルゴンなど)や炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エステル、アルデヒド、アミン、ガソリン、農薬など様々なものがあります。

Ⅰ章-2-3 GCの構成ブロック

キャリヤーガス

キャリヤーガスには窒素、アルゴン、水素、ヘリウムなどを使用します。
窒素は、安価で安全なガスですが、最適線速度が遅いため分析時間がかかり、最適線速度域が狭いという欠点を持っています。水素は、安価で最適線速度が速く、また最適線速度域が広いため、理想的なキャリアガスと言えますが、安全面を考慮して日本ではあまり使用されていません。一般的には、高価ですが安全で広い最適線速度域を持つヘリウムが多用されています。
その他、TCD検出器は分析対象物質によりキャリヤーガスの選定が必要です。

キャリヤーガス制御部

キャリヤーガスに用いるガスボンベは高圧充填されているため、調整器により、排出されるガス圧力を制御する必要があります。制御されたガスをガスクロマトグラフに導入し、適切な流量に設定します。
流量は、分離や保持時間の再現性に重要なファクターであるため、精度良く制御する必要があります。

試料導入部(注入口)

注入口で導入された試料は、キャリヤーガスによってカラムへ送り込まれます。一般的には高温に加熱された注入口にシリンジを用いてサンプルを注入します。気体試料はそのまま、液体試料は気化されてカラムへ移動します。代表的な注入口にはダイレクト注入口、スプリット・スプリットレス注入口があります。

充填カラム用ダイレクト注入口

試料の全量を導入する注入口です。

キャピラリーカラム用スプリット・スプリットレス注入口

試料の一部をカラムに導入するスプリット注入法、ほぼ全量を導入するスプリットレス注入法が選択できます。

その他の注入口

その他、オンカラム用注入口や、PTV(昇温気化型)注入口などがあります。

検出器

検出器の種類と選択性

検出器名称 略称 選択性
水素炎イオン化検出器  Flame Ionization Detector FID 有機化合物
熱伝導度検出器  Thermal Conductivity Detector TCD 無し
電子捕獲型検出器   Electron Capture Detector ECD ハロゲン、S、O原子
光イオン化検出器  Photo lonization Detector PID 分子のイオン電圧
フレーム光度型検出器  Flame Photometric Detector FPD S,P原子
質量分析計   Mass Spectrometer MS 分子の質量ベクトル

以上のように、非常にたくさんの種類があり、この中で特に多く使用されるものについて、いくつか簡単に説明します。

水素炎イオン化検出器(FID)

FIDは、広いダイナミックレンジをもつ汎用検出器です。可燃性の有機化合物を水素炎中で燃焼させたときに生成されるイオンをコレクターで捕集し、このときに発生した電流を検出します。FIDは、ほぼ炭素数に比例して感度が上昇しますが、ヘテロ原子や不飽和結合を含むような試料は、燃焼しにくくなるためにモル相対感度の低下が起きることに注意しなければなりません。

熱伝導度検出器(TCD)

TCDは、図のようなブリッジ回路を用いてフィラメントに流れる電流値の変化を検出することにより、試料の検出を行います。TCDは、セル容積が大きいため、キャピラリーカラムには向きませんが、セル容積を小さくしたキャピラリーカラム用のマイクロTCDも実用化されています。

TCDは、分析対象成分と、キャリヤーガスとの熱伝導度の差を利用した検出器で、熱伝導度の差が大きいほど、感度は高くなります。分析対象成分によりキャリヤーガスを検討する必要があります。下記に、主なガスの熱伝導度を表記します。

Ⅰ章-2-4 GC分析の手順

 目的の明確化 ・GC法が適しているか検討
・試料をそのまま注入出来るか検討
       →できない場合は前処理を行う
 カラム
 注入方法
 検出器の選択
 
カラムの取り付け ・各装置にあった取り付け方法に従い、取り付ける
キャリヤーガスの設定 ・設定後ガス漏れ確認を行う
・必要であればカラムコンディショニングを行う
記録計、検出器の始動  
条件の設定 ・設定後、カラムや検出器の安定を待つ
試料導入  
記録  
解析  
分析終了  

目的の明確化

分析の目的     定性・定量分析、パターン分析
濃度        濃度の上限~下限
マトリックス    希釈溶媒、夾雑物
注入方法      スプリット、スプリットレス、前処理装置
検出器       FID, TCD, ECD, PID, FPD, MS

 

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