バルコバルブ
ローター材質の選択方法

ローターの材質は単一の材料ではすべての使用環境において最適な性能を発揮できないため、多種多様なポリマー複合材をラインナップしています。それぞれのポリマーの特長および注意点を簡潔にまとめました。バルブ注文時にローターを指定することが可能ですので、バルブ選定の際の参考にしてください
2ポジションバルブの標準ローターは、中温用バルブが「Valcon E」、高温用バルブが「Valcon T」を採用しています。
ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
コード | 材質 | 温度/圧力 | 特長 |
---|---|---|---|
Valcon E | polyaryletherketone /PTFE複合材 |
225℃/2.8MPa | GC分野で標準的に使用されるローターで耐熱性と耐 久性に優れます。またHPLC分野では耐圧の低さを犠 牲にしてもValconHより高温での使用が要求される 場合に有効です。 高濃度の硫酸/硝酸、DMSO、THF、ジクロロメタン と長時間接触して使用することはできません。 |
Valcon E2 | TFE複合材 | 75℃/0.7MPa | 低圧用で75℃までの温度に適しています。 ほとんどの化学品に耐性がありますが、高濃度の硫酸 /硝酸、DMSO、液体ジクロロメタンは、長時間接触し て使用することはできません。 |
Valcon E3 | polyaryletherketone 複合材 |
50℃/103MPa (液体の場合) |
一般的なHPLC溶媒に耐性があり、希酸および希塩酸も 使用できます。しかし、ポリマーはハロゲン化溶媒で 膨潤します。濃硫酸または濃硝酸(10%以上)での使 用は、避ける必要があります。 |
Valcon H | カーボンファイバー 強化PTFE潤滑処理 済みポリマー |
75℃/34.5MPa (液体の場合) |
一般的なHPLC分野で長い間標準として使用されてい ます。WとUWシリーズのバルブでは標準ローターと して採用されており、C10W, AC6UWのようにローター 材質の表示は省略されます。これらのバルブは48.3~ 68.9MPaで使用されることもありますが、寿命は約半 分になります。 |
Valcon M | 炭化水素系ポリマー | 50℃/2.8MPa | 全てのローター材質の中でガスの透過が最も少なく、 微量ガスの分析に広く使用されています。 10-10 cc-atm/secのシール性を持ちますが、使用温度 は50℃までに制限されます。芳香族炭化水素分析には 不向きですので使用は避けてください。 |
Valcon P | PTFE/Graphite 複合材 |
175℃/2.8MPa | このローターは、75℃/6.9MPaで連続使用するGCのた めに開発した材質です。(標準仕様は75℃/2.8MPa) シール性は劣りますが、200ºCに達する温度でも使用 できます。しかしながら、ライフタイムを重要視する 場合には、Valcon Eをお勧めします。ValconEは、ほ とんどのアプリケーションでValcon Pに置き換えるこ とができます。 |
Valcon R | PTFE複合材 | 75℃/2.8MPa | 低温・低圧状況下で、ほぼ全般的な化学的不活性が要 求される場合に使用されます。昇温・加圧すると、溶 融ナトリウムとフッ素が有害な作用をもたらすため、 2.8MPa以下であっても決して75℃以上で使用しないで ください。 |
Valcon T | polyimide/PTFE /carbon複合材 |
330℃/2.1MPa | 使用温度範囲が250℃から330℃の場合、これに勝るも のはありません。しかしながら150ºC以下(推奨温度は 250℃以上)では、シール材がバルブボディに固着する 傾向があり、ガスを流し続け、定期的に回転させる必 要があります。水分の多いサンプル、アンモニア、ヒ ドラジン、1級/2級アミン、pH10以上の溶液や強力な 酸化剤には使用できません。 |
Valcon TF | PTFE | 50℃/1.4MPa | 機械的性質は他の材質に比較して劣りますが、 Valcon Rでも強い酸化剤に使用する場合に、時々使用 されることがあります。 |
Valcon X | 独自のポリイミド ブレンド |
- | Valcon T同様の化学的性質を持っていますが、圧縮 強度が強くなっています。 |
※ここに掲載されている仕様は、2ポジションバルブに関する情報です。
マルチポジションセレクターバルブは、シール部のデザインが複雑な為、使用圧力・使用温度が低くなります。
それぞれのバルブの実際の仕様に関しては、カタログをご参照ください。