HPLCの上手な使い方
Ⅲ章-10 フィルター
HPLCの流路上には、装置やカラムの保護のために様々なところに各種のフィルターが入っています。ここではそれぞれのフィルターに関して使用目的と特長を説明します。
メンブランフィルター
おもにサンプル中のゴミ等を除去するために使用します。この操作を怠りますとインジェクターのローターシールを傷つけたり、分析カラムのフィルターの目詰まりを起こす可能性があります。使用に際してはサンプルに応じてフィルターの材質と径を選択してください。特に材質はサンプルを溶かしている溶媒に応じてろ過時に吸着や溶出のないものを選ぶ必要があります。
溶液フィルター
溶液中のゴミ等をトラップするフィルターです。材質およびエレメント径は以下の通りで、一般的にはステンレス製のものが使われています。
ステンレス製:10 20 25 40µm
ポリプロピレン製:30µm
PTFE製:30µm
ラインフィルター、プレクリーンORG
ポンプとインジェクターの間に取り付け、溶離液やポンプからでるゴミや汚れをトラップするフィルターです。材質はステンレス、PTFE、ピーク製などがあり、エレメント径は2µmです。プレクリーンORGはラインフィルターと同じ役目以外に、溶離液中の不純有機物を除去してカラムの寿命を延ばします。特に逆相カラムに有効です。
注)プレクリーンORGに関しての詳しい説明は、Ⅱ-3です。
プレカラムフィルター、ガードカラム
インジェクターとカラムの間に取り付けるデットボリュームの小さいフィルターで、サンプルの汚れをトラップします。エレメント径は2µmです。ガードカラムにはカートリッジガードカラム、ミニガードカラム、プレカラムなどがあります。これらは分析カラムと同じ充填剤が入っているため、フィルターによる物理的トラップ以外に充填剤への吸着成分をトラップして分析カラムを保護します。