HPLCの上手な使い方
Ⅰ章-5 カラムの検査方法
正しい方法で使用し、保守・保管を徹底的に行っても、残念ながら充填剤は徐々に劣化していきます。したがって、現在使用している充填剤がどの程度劣化しているかを把握しておくことが重要です。カラムの状態を知るには、標準条件を設定して定期的にカラムを検査することをお薦めします。標準条件は、できるだけ簡単な条件で短時間に行えるよう設定してください。特に問題がなければ、カラムに添付されている出荷検査データを利用するのがよいと思います。例としてオクタデシル基結合シリカゲルの検査方法を紹介します。
検査方法作成のポイント
溶離液 | :再現性よく作成でき、緩衡塩などは含まない溶離液 |
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有機溶媒組成の多い溶離液の方が洗浄効果も期待できる | |
試料 | :分解性や揮発性が低くUV 254nm付近で検出可能なもの |
分析目的成分に構造が近いものを使用するのもよい | |
分析温度 | :定温度で分析を行う |
検査項目
- 保持時間
- 結合基の切断が起こると溶出時間が早くなる
- 圧力
- カラムフィルターの詰まりによって高くなる
- 理論段数
- 充填剤の汚れや充填状態の変化によって低下する。
- ピーク形状
- ピークの裾がテーリングする場合、接続部分にデットボリュームが生じている可能性があるため、確実に接続されていることをチェックする。
分析の手順
1.試料の性質の把握 | 分解性、マトリクス・・・ |
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2.分析目的の把握 | 定性・定量分析、分取・・・ |
3.前処理法の確立 | 目的:除タンパク、誘導体化・・・ |
4.カラムの選択 | カラムの種類:内径、長さ、材質 充填剤の種類:母体ゲル、結合基、粒径・・・ |
5.分析条件の検討 | 溶離液、流速、注入量・・・ |
6.カラムの保守・保管 | 圧力変動、振動を避ける、必要に応じて洗浄する、ガードカラムの使用、カラム検査 |