技術情報

加熱脱離チューブの選び方 

Ⅰ章-5 捕集管選択のポイント

5-1. 捕集管選択のポイント

分析を成功させるためには、目的に合った捕集管を選ぶことがとても大切です。
まずは、以下の4つのポイントを確認しましょう。

1.どこで測定するか(用途)

・環境大気
・室内空気
・作業環境
・土壌ガス(Soil Gas)

測定目的により、求められる揮発性範囲や規制値、必要な感度が変わります。

2.測定対象成分の揮発性(炭素数・沸点)

捕集管は「吸着剤の種類」で性能が変わります。

吸着剤種 得意な領域
Tenax TA C6〜C26(一般的なVOC)
グラファイトカーボンブラック(GCB) 中〜高沸点成分
カーボンモレキュラーシーブ(CMS) C2〜C5の低分子化合物

複数範囲を測りたい場合は マルチベッドチューブ を選びます。

3.サンプリング量(捕集量・サンプリング流量)

・微量成分の測定 → 多めの吸着容量が必要
・低濃度の室内空気の場合 → 1〜10 Lの採取が一般的
・VOC チャンバー → 数百 mL 程度

サンプリング量が多いとブレークスルーのリスクも増えます。

4.湿度条件

吸着剤の種類によって、水分の影響が大きく異なります。

吸着剤種 湿度影響
Tenax TA /グラファイトカーボンブラック(GCB) ほぼ影響しない
カーボンモレキュラーシーブ(CMS) 影響する(ドライパージ必要)

湿度が高い環境(雨天、土壌ガス、地下室など)は要注意。

5-2.代表的な捕集管の特徴と使い分け

Tenax TA(最初の選択肢に最適)

・取り扱いが容易
・一般的なVOC測定で広く使用
・ブレークスルーが起こりにくく、再現性が高い

グラファイトカーボンブラック(GCB)

・中〜高沸点化合物に強い
・水分の影響をほとんど受けない
・低バックグラウンドで高感度分析に適する

カーボンモレキュラーシーブ(CMS)

・C2〜C5 の低分子成分に最適
・吸湿性がある → ドライパージが必須
・液体標準液での検量線作成には注意が必要

マルチベッドチューブ

・複数の吸着剤を組み合わせた構成
・低沸点〜高沸点まで広範囲を 1 本でカバー
・EPA TO-17 や NIOSH 2549 など国際規格で使用実績あり

捕集管の選定は、VOC 分析の成功を決める重要なポイントです。
測定目的、対象成分、サンプリング量、湿度条件、分析規格を確認し、用途に最適な捕集管を選ぶことで、
安定性の高い信頼できる結果が得られます。