技術情報

誘導体化試薬の使用例

Ⅱ章-5 GC/MS用誘導体化試薬

近年GC/MSが広く普及してきていますが、より効果的に分析を行なうためには、試料をGC/MSに適した形に誘導体化する必要があります。GC/MS分析では、GC‐ECDで要求されるような試料の電子捕獲能は重要ではありませんので、誘導体化の選択の幅は広がります。しかし試料の安定性を高め、化合物の特徴を示すマススペクトルを豊富に与える必要があります。
tert‐ButyIdimethylchlorosilane(t‐BDMCS)は、フェノール性、アルコール性水酸基と反応して、安定した誘導体をつくります。特にステロイド、プロスタグランジン、カンナピノイドの場合は、基準となるピークがほとんどM‐57の位置にあらわれるので、スペクトル解析を単純化できます。
N‐Methyl‐N‐tert‐ButyIdimethylsilytrifluoroacetamide(MTBSTFA)はおだやかな条件でt‐BDMS誘導体を与える試薬です。

t - BDMCS誘導体の調製

試料50mgをDMF 0.5 mLに溶解させ、t‐BDMCSとイミダゾール 0.1gを加えます。密栓して80ºCで20分間加熱し、冷却後ヘキサンを2mL加えます。水で3回洗浄してイミダゾールを除き、硫酸ナトリウム上で乾燥した後窒素気流中で0.5mLまで濃縮して試料とします。

MTBSTFAによる誘導体の調製

1~5mgの試料を1mLのミニバイアルにとり、DMFまたはアセトニトリル 100µLとMTBSTFA 100µLを加えます。室温で5~20分間放置すると、反応は進行します。反応しにくい試料の場合には、密栓して66ºCで1時間加熱すれば進行します。THF、ピリジンなどの溶媒も用いることができますが、DMFは二級アミンと、ピリジンは一級、二級アミンとの反応には適しません。
Ref.:R.W.KeIley & P.L.Taylor,Anal.Chem.,48.465(1976)
Ref.:M.A.Quilliam et al.,J.Chromatogr.,105,297(1975)