技術情報

誘導体化試薬の使用例

Ⅱ章-1 シリル化剤-1

難揮発性化合物を揮発性化合物に変える誘導体化において、よく用いられるのがシリル化です。
広義のシリル化は、上記のような式で表されます。

クロマトグラフィーで最もよく用いられるシリル化はトリメチルシリル化(TMS化)で、活性水素を持つ化合物のほとんどに適用できます。
それぞれの官能基ごとのシリル化のしやすさは、

アルコール>フェノール>カルボン酸>アミン>アミド

の順になり、アルコールの中では、1級>2級>3級、アミンでは1級>2級の順になります。

また、シリル化剤の強さは次の順になります。

TMSI>BSTFA>BSA>MSTFA>TMSDMA>TMSDEA>MTMSA>TMCS(with base)>HMDS

しかしTMSIはヒドロキシル基とは簡単に反応しますが、脂肪族の1級アミンとは全く反応しないなどの例外があり、BSTFAとBSAの差もわずかです。
シリル化の反応は、酸または塩基を触媒として加えることで促進できます。
一般に最も強いシリル化剤として知られているのは、BSA : TMSI : TMCS = 1:1:1 で混合したものです。
HMDSとTMCSを組み合わせたシリル化剤もよく知られていますが(TMSI-Hなど)、反応副生成物である塩化アンモニウムの白沈が好ましくない場合もあります。
いろいろな触媒が試みられてきましたが、TMCSが最も効果的な触媒です。

シリル化の際、反応温度を高くすることで、速度の向上や反応しにくい官能基のシリル化も可能になります。通常は60ºC、80ºC、100ºCといった温度に設定して反応させますが、ミニバイアルなどの肉厚のバイアルにリアクティサーモのような加熱器を利用すると、100~150ºCの反応温度も可能です。

シリル化剤は単独で用いることも可能ですが、多くの場合ピリジン、アセトニトリル、DMFなどの溶媒とともに用いられます。弊社では、そのような場合に便利な調製済みシリル化剤を用意しています。
全般用のTMSI-B、TMSI-H、糖シロップなどのように水分を含んだサンプルをシリル化するためのTMSI-C、そしてGC/MS分析に有用なtert-BDMCS/Imidazole/DMFの4種類です。

なお、トリメチルシリル化は加水分解を受けやすいという欠点があります。それを補うためにTMS基以外の官能基を導入したシリル化剤が用いられたり、ECDなどの高感度検出を目的としてハロゲン基を導入する手段がとられたりすることがあります。そのようなときに使用されるのが、ハロメチルシリル化剤やフロフェメシルシリル化剤です。これらの誘導体は相当するTMS誘導体よりも相対的に保持時間が長く、分離の改善と高感度検出が期待できます。