技術情報

吸着型充填剤の選び方 -無機ガスと低級炭化水素分析の基礎ガイド-

6. Gaskuropackでの分析

6-1. Gaskuropackとは

Gaskuropack 54

架橋度の高いポリスチレン・ジビニルベンゼン共重合体からなるポーラスポリマービーズで、独自の特殊処理により熱安定性の高い、ロット間のバラツキが少ない充填剤です。ポーラスポリマーのため、水や空気によるゴーストはほとんどなく作業環境などの分析にも適しています。また、液相などをコーティングすることにより、珪藻土系担体では困難であった分析も可能となる場合もあります。

Gaskuropack 55

Gaskuropack 54の特長を活かし、微量のグリコール類の分析を目的に開発されたポーラスポリマー系の充填剤で、極性表面を持ち、極性の高いサンプルの分析に適しています。

Gaskuropack 56

酸性表面を持ち、酸性系のサンプルの分析に適しています。
空気や水などによるゴーストも少なく作業環境などの分析にも使用できます。

充填剤の価格および低級炭化水素保持時間表は下記リンクをご参照ください。

6-2. Gaskuropackによる分析例

Gaskuropack 54は、O2、N2、COなどの永久ガスに対しては保持が弱く、通常のカラム長(室温条件)では相互分離が困難です。しかし、CO2およびC2~C3炭化水素(C2H4、C2H6、C3H6、C3H8など)に対しては良好な保持と優れた分離能を示し、恒温条件で分析が可能です。また、ポーラスポリマー担体の特長として、H2Oを良好なピークとして検出可能です。

Gaskuropack 54は、カラムを-70 ℃まで冷却することで、N2、O2、Arなどの無機ガスの相互分離が可能になります。Molecular Sieve 5Aでは Ar → O2 → N2 の順に溶出しますが、Gaskuropack 54では溶出順序が完全な逆(N2 → O2 → Ar)になるのが大きな特長です。

酸性化合物向け不活性化処理(Deactivated for Acidic compounds)を行ったGasukuropack 54DAを用いた、ガソリン車排気ガス中の硫黄化合物(H2S、COS)の分離分析例です。H2SやCOSなどの微量硫黄化合物は充填剤表面の塩基性活性点に吸着しやすく、ピークテーリングや回収率低下を引き起こします。充填剤表面に酸性化合物向け不活性化処理を施すことで吸着を大幅に抑制します。

下記のデータは、Gaskuropack54および55における炭化水素(C1~C4)の分離挙動を比較したものです。固定相に極性基が含まれるGaskuropack 55では、不飽和炭化水素の不飽和結合(π電子)との間に極性相互作用が働くため、C2H2やC2H4の保持が強くなる挙動が確認できます。

各メーカーのGCに対応した充填カラムは下記リンクをご参照ください。