分取の上手な使い方
Ⅲ章-2 負荷量検討について
分取における負荷量を検討するにあたって重要なことは、カラムにサンプルが充分に負荷できることと、目的成分と他の成分が分離できるかどうかということです。定量するわけではありませんのでピークが振り切っていても、多少のピーク形状の崩れがあっても大きな問題にはなりません。重要な要素は次の2点です。
- カラムにサンプルが充分に負荷できること
- 目的成分と他の成分の分離が良好と
この2つの観点から分析カラム(内径4.6mm)を使用して分取量の目安を検討する方法について紹介します。
分析カラムで負荷量の検討方法 その1
カラムにサンプルが充分に負荷できること
- まず、II章-2「サンプルの調製について」で紹介した方法でサンプルを調製します。
- 少ない注入量から、段階的に注入量を増やして分析します。下図では、10µL→50µL→100µL→250µLと段階的に注入量を増やしています。2倍~10倍程度の注入量を段階的に増やして検証すると効率的です。
- 注入量が多くなるとピーク形状が崩れてきます。崩れてくる注入量が、今回の条件における最大注入量(最大負荷量)ということになります。
- 下図の例では、注入量が100µLでピーク形状が崩れはじめ、250µLでは完全に崩れてピークが2本になっています。よって、今回の条件における注入量の限界は100µL(10mg)程度であることがわかります。
分析カラムで負荷量の検討方法 その2
目的成分と他の成分の分離が良好
- まず、II章-2「サンプルの調製について」で紹介した方法でサンプルを調製します。
- 少ない注入量から、段階的に注入量を増やして分析します。下の図では、10µL→50µL→100µL→250µLと段階的に注入量を増やしています。2倍~10倍程度の注入量を段階的に増やして検証すると効率的です。
- 注入量が多くなるとピークの分離が悪くなってくるので、分離度で判断するのがわかりやすいです。分画方法や求める純度によって目標とする分離度の目安は異なってきます。理想は完全分離(分離度1.5以上)していることです。しかし、スロープ分取やレベル分取をする場合は、分離度1.2~1.5程度でも問題はありません。
- 下図の例において、分離度1.2を負荷量の限界の目安と設定した場合、注入量の限界は200µL(総負荷量18mg)程度であることがわかります。
- 内径4.6mmカラムでの最大注入量が200µLの場合、カラムサイズをスケールアップした場合の最大注入量の 目安は次のようになります。
カラム内径 | 4.6mm | 10mm | 14mm | 20mm | 30mm |
---|---|---|---|---|---|
断面比 | 1 | 4.7 | 9.3 | 18.9 | 42.5 |
最大注入量 | 200µL | 940µL | 1.86mL | 3.78mL | 8.3mL |