技術情報

HPLCのまめ知識

LCカラムジョイント形式と接続のポイント

(1) HPLCカラムのジョイント形式について

HPLCカラムを配管につなげる際には、フェラルの先に少し配管が出ている状態で接続します。
このフェラルの先に出る配管の適切な長さは、カラムのジョイント形式によって異なります。
以下に、HPLCにおける代表的なジョイント形式である、パーカー型(弊社ではUPタイプとも呼んでいます)とウォーターズ型をその一例として示します。

HPLCにおける代表的なジョイント形式

(2) HPLCカラムと配管のジョイント形式が一致していないと‥

2-1:配管側がパーカー型(UPタイプ)、カラム側がウォーターズ型(Wタイプ)だった場合
カラムジョイント部(配管を固定する部分)の構造に対してフェラル先に出ている配管の長さが短いため、余分
な空間が残った状態で配管が固定されます。
その空間を移動相が通過する際にサンプルの拡散が起こり、ピーク形状が悪化することがあります。
一般的なカラムサイズであればほとんど差が見られないことも多いですが、カラムの内径が小さくなるほど、また、カラム長さが短くなるほど、その影響は大きくなります。

配管側がパーカー型(UPタイプ)、カラム側がウォーターズ型(Wタイプ)だった場合の図
配管側がパーカー型(UPタイプ)、カラム側がウォーターズ型(Wタイプ)だった場合のクロマトグラム

2-2 配管側がウォーターズ型(Wタイプ)、カラム側がパーカー型(UPタイプ)だった場合
カラムジョイント部(配管を固定する部分)の構造に対してフェラル先に出ている配管が長いため、ネジを締め込むにつれ、配管に対して押し込む方向の力が働きます。
その結果、フェラルがWタイプの位置からUPタイプの位置までスライドし、特に問題なく正常なデータが取得できるケースも多いですが、液漏れ等の不具合が生じることもあるため、注意が必要です。

(3) 一致していない場合の対応について

3-1 フェラル等の位置が動く配管の場合(PEEK配管とPEEKコネクターの組み合わせなど)
まず、コネクターの位置を動かし、フェラルの先に配管が長め(5 mm程度)に出ている状態にします(B)。
そのままお使いになるカラムのジョイント部に配管を押し込み、配管の先端がジョイント部に接している状態を維持しながらコネクターを締め込みます(C)。
こうすることで、お使いになるカラムに合った位置でフェラルが改めて固定され(D)、正常なデータを取得することができます。

フェラル等の位置が動く配管の場合の図

3-2 フェラル等の位置が動かない場合(金属製のフェラルや、PTFE配管を使用している場合など)
同じフェラルを使用することはできないので、配管の先端のみを切断するか、配管ごと交換する必要があります。
配管の材質がPEEKやPTFEの場合には、ハンディカッターなどを使用してコネクター周辺の配管を切断し(A)、お使いになるカラムを新しいコネクターで接続するようにしてください(B, C)。

 フェラル等の位置が動かない場合の図

金属製配管の場合にはきれいに切断することが難しいため、配管ごと交換することをお薦め致します。
その配管の、カラムとは逆側の先端がどの部分に接続されているかを確認し、適切な長さの配管を新たに用意するようにしてください。
その際には、フェラルを使用せずに接続可能で全てのジョイント形状に対応可能なタイプのコネクターと高耐圧の配管とが一体型になっている、MarvelXACTなども便利です。

(4) 配管交換時にお薦めの部品類

ピーク製コネクターの画像
ステンレス製押しネジの画像
ステンレス製フェラルの画像
高耐圧手締めフィッティングの画像
MarvelXACTの画像