技術情報

3. 液相濃度の選び方

3-1 液相の含浸率について

気液クロマトグラフィーの充填剤は担体に液相を含浸させて製造します。
液相濃度とは、担体に含浸させた固定相液体の重量割合を示し、JIS K0114-2012では以下のように定められています。

含浸量を減少させた場合

液相の含浸量を減らすと、分析時間の短縮が可能で、特に高沸点化合物の分析に有効です。しかし、含浸量が小さいほど担体表面の影響が現れやすくなり、例えば耐火レンガ系珪藻土担体では試料の吸着や分解が生じる場合があります。そのため、コーティング量が5%以下の場合には、Uniport HPなど吸着活性点の少ない担体の使用を推奨します。

含浸量を増加させた場合

液相の含浸量を増やすと、試料に対する保持力が大きくなり、低沸点化合物の分離度向上に効果があります。
ただし、高沸点化合物では分離の改善効果は小さく、分析時間の増大につながるため不適当です。
一方で、含浸量を増やすことで試料の許容量が増加し、一般にカラムへの試料負荷が増大した際に見られるピークリーディングの抑制にも有効です。

また、担体の種類によって含浸できる液相量は異なります。
一般に、表面積の大きい担体ほど多くの液相を保持できますが、担体表面の性質や孔構造によっても影響を受けます。
さらに、液相の粘度によっても含浸量は変化し、溶液状態で粘度の高い液相は、担体内部まで十分に浸透しにくいため、含浸量を大きくすることはできません。

担体種類 担体品名 コーティング
範囲(目安)
充填密度
(g/mL)
最高使用温度
(℃)
白色系珪藻土 Uniport B
Uniport HP
25%以下
0.20
350
耐火レンガ系珪藻土 Uniport C
Uniport CS
30%以下
0.47
350
テレフタル酸 Flusin P
10%以下
0.50
185
フッ素樹脂 Flusin T6
20%以下
0.58
200

3-2. 充填密度について

液相濃度を考える上で重要となるのが、カラムへの充填密度です。担体によって「充填密度(g/mL)」が異なるため、同じ割合で固定相液体を含浸させても、カラム内に含まれる液相の実量は変化します。ご注意ください。

例として、白色系珪藻土の Uniport B(充填密度:0.20 g/mL) と、耐火レンガ系珪藻土の Uniport C(充填密度:0.47 g/mL) に液相をそれぞれ20 %含浸させて、カラムに各10 gを充填した場合を考えます。

Uniport Cの方が密度が高いため、カラムの充填長さはUniport Bの半分以下となります。
逆に、同じ長さを充填した場合には、Uniport Cの液相量はUniport Bの約2.4倍となり、低級炭化水素ガスなどでは分離度の向上や試料負荷量の増大の点で、耐火レンガ系珪藻土のUniport Cが有利になります。