技術情報

固相カラムの上手な使い方

Ⅱ章-1 有機物分析

実試料を固相抽出に適用する場合は、試料の種類別に、あらかじめ希釈、ろ過などの事前処理が必要になる場合があります。ここでは、実試料を固相抽出にかける前に必要となる事前処理例について、いくつか紹介します。

血清、血漿

血液試料のうち、血清、血漿の場合は、試料を等量の水や緩衝液で希釈します。目的成分のpKaやタンパク結合を考慮し、緩衝液のpHを設定します。一般的な血中の薬物分析では、目的に応じて、血清、血漿を分析対象試料として扱い、全血そのものを分析対象とすることはまれです。
血中の薬物分析における留意点は、未変化体を分析するのか、あるいはタンパク結合した薬物をフリー体に変換して測定するのかなど、その目的をはっきりさせることです。また、ほとんどの薬物がタンパク結合をするため、必要に応じてタンパク質の結合を事前に切断します。薬物によっては、血中に抱合体として存在しているものもあります。この場合、必要により尿と同様の処理(下記参照)を行います。

全血

全血は赤血球を含んでいるため、有機溶媒を加え、緩衝液により血球を破壊してから抽出操作にかけます。血清や血漿のときよりも薬物のタンパク結合の影響が大きくなる傾向があるので、事前に除タンパク効果については十分に検討することが求められます。

尿

尿とともに排泄される薬物は体内で代謝されているため、未変化体としてはほとんど排泄されず、抱合体としてその大部分が排泄されます。したがって、尿中の薬物を固相抽出する際には、あらかじめ抱合体を遊離型に変換しなければならず、β-グルクロニダーゼなどの酵素を用いて加水分解するか、酸分解処理あるいは強アルカリによる加水分解処理を行う必要があります。また、尿を取り扱う上では、高濃度の塩類が含まれていることを考慮します。最低限等量の水か緩衝液で希釈する必要があり、可能であれば5倍~10倍程度希釈することが理想です。

組織物・臓器

臓器などは、第一段階として有機溶媒を用いてホモジネート後、遠心分離により上清を分取して固相抽出処理を行います。脂肪の多い組織はヘキサン、クロロホルムなどの低-中極性の溶媒で処理し、タンパク質系の組織はメタノールなどのアルコール/緩衝液混合物でホモジネート処理を施します。得られた上清を血液や尿と同様に液性を予備調製してから固相抽出にかけると効果的です。