技術情報

固相カラムの上手な使い方

Ⅰ章-6 固相抽出の分離剤の母体種類と原理

固相抽出を導入することによって、前処理にかかる工程を簡略化し、目的物質の選択的な機器分析を行うことが可能です。固相抽出を上手に行うためには、固相抽出で用いられる主な分離剤の種類と原理を理解していることが重要です。以下に分離剤の詳細について説明します。
分離剤の母体となるものには、化学結合型シリカゲル、化学重合ポリマーがあります。(図6)にそれぞれの構造特長を示します。ポリマー固相は、充填剤に起因する微量金属不純物の影響がほとんどないことが特長です。分離剤の形状は破砕状ではなく球状です。たとえば、InertSep PLS-2 は、スチレンとジビニルベンゼンを共重合させた疎水性のポリマーを採用しています。InertSep RP-1、PLS-3、RP-C18 では、SDB 共重合体のスチレンの長鎖分子間にファンクショングループとしてメタクリレートや窒素含有メタクリレートを重合させたもの、SDB のベンゼン環にODS 基(オクタデシルシリル基)を結合させたものを採用しています。

1-6-1 逆相固相(無極性相互作用)

無極性固相は、マトリックスが水系であれば相互作用が強く働くため、疎水性構造を有する目的物質を幅広く保持することができます。 主な相互作用は、分子間引力(ファンデルワールス力)(図7)で、最も利用されているモードです。 水マトリックス下で疎水成分が保持され、極性溶媒(メタノール、アセトニトリル)を流すと目的物質を溶出(回収)することができます。

1-6-2 順相固相(極性相互作用)

極性固相における主な相互作用としては、(図8)に示すように、水素結合、双極子- 双極子結合を働かせることで目的物質を保持します。n-ヘキサンなどの低極性溶媒マトリックスで、その相互作用は強くなります。低極性溶媒マトリックスのを利用する場合は、保持された化合物は、極性溶媒で溶出が可能となります。

1-6-3 イオン交換固相(イオン交換相互作用)

イオン交換法による固相抽出は、最も選別性の高い手法です。 (図9)に示すように、目的物質はイオン対によりしっかり保持されるため、その後有機溶媒での洗浄が可能です。 これにより高い精製効果が得られますが、イオン交換容量に制限があるため、試料負荷量には注意が必要です。
イオン交換法では、試料のpH やイオン強度などによって保持と溶出をコントロールします。C18などの無極性固相に比べて、pH 調整などの複雑な工程を必要とするため、より最適なメソッドを確立するにはある程度の慣れが必要です。しかしながら、本手法を充分に使いこなすことができれば、夾雑物質に影響を受けにくい手法を確立できます。