技術情報

固相カラムの上手な使い方

高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、ガスクロマトグラフィー(GC)、誘導結合プラズマ発光分析(ICP-AES)、誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)などの分析機器を利用して効果的な分析を行うためには、ターゲットとなる分析対象試料から目的物質を効率的に抽出することが重要です。たとえば、血液、尿、臓器などの生体試料を、直接、HPLC、GC、ICP-AES、ICP-MS などの分析機器に導入することは不可能です。そのため、通常は事前の試料前処理が必要です。試料前処理には、様々な手法が適用できますが、液液抽出法に代わる手法として、固相抽出法が一般的に利用されるようになっています。
固相抽出法とは、分離剤を使い捨て注射筒などの容器に充填したミニカラム等により試料マトリックス中の目的物質の分離精製を行う手法のことをいいます。固相抽出には、分離目的により、様々な分離剤(吸着剤)が使い分けられます。
ここでは、基本的な固相抽出の原理について述べ、様々な試料における適用方法について紹介いたします。

Ⅰ章-1 液液抽出法と固相抽出法の違い

液液抽出と固相抽出は、各種試料の前処理として利用されています。それぞれの前処理の特徴を(図1)に示します。液液抽出法は、対象試料の容積に応じて抽出溶媒量の比率が決まるため、環境水1 L の水試料から目的物質を抽出するのに100mL以上のジクロロメタンを用いることもあります。一方、固相抽出では、対象試料の容積に依存せず固定相を一定にしておくことが可能なため、1Lの水試料から目的物質を抽出するのに数mLの有機溶媒で抽出できます。
固相抽出法の利点は、多彩な分離剤を利用することで得られる選択性の高さにあるといえます。(図1)に示したように、液液抽出では、目的物質を抽出し濃縮することは可能ですが、同時に夾雑物質も抽出される場合が多いです。固相抽出では、適切な固定相(分離剤)を選択することにより、目的物質を試料マトリックスから選択的に分離濃縮できます。